
NURO光を使っていると、回線速度やPing値の違いが気になることがあります。
特に、特定の時間帯だけ遅くなる場合や、海外サイトへの接続が重い場合は、「どんな経路で通信しているのか?」を自分で調べてみると原因のヒントがつかめます。
ここでは、NURO光がどんな中継事業者やIXを経由しているかを、
用語の定義やインターネットの仕組みも確認しながら、自分で確認する方法をやさしく解説していきます。
ネットワークの見える化は快適な回線運用への第一歩なので、ぜひ読んでみてくださいね。
タップできる目次
中継事業者(トランジット事業者)とは
中継事業者(Transit Provider)は、インターネット上で他のネットワーク(ISPや企業ネットワーク)に通信を“運んでくれる”業者です。
たとえば、NURO光(So-net)は「一般ユーザーのISP」ですが、
その上流には「世界中に経路を持つ大規模ネットワーク事業者(=トランジット事業者)」が存在します。
NURO光は彼らと契約してインターネット全体へつながっているんです。
代表的な中継事業者(トランジット事業者)
- NTT Communications(AS2914)
- KDDI(AS2516)
- SoftBank(bbtec.net, AS17676)
- IIJ(AS2497)
- Hurricane Electric(AS6939)
- Tata Communications(AS6453)など
特徴
- 「上流回線業者」とも呼ばれる
- お金を払って他ネットワークへの通信を“中継”してもらう
- 契約関係(トランジット契約)が必要
- 経路制御(BGP)を使って広域通信を実現している
IX(インターネットエクスチェンジ)とは
IX(Internet Exchange)は、複数のネットワーク事業者が1か所に集まって「相互接続」するための“ハブ”のような場所です。
つまり、トランジット事業者のように「中継してくれる業者」ではなく、
接続のための“物理的技術的な場”を提供する中立的な施設です。
日本の主なIX
- JPNAP(インターネットマルチフィード)
- BBIX(ソフトバンクグループ)
- JPIX(日本インターネットエクスチェンジ)
- Equinix IX Japan など
特徴
- 複数のISPやクラウド事業者が直接ピア接続(相互通信)できる場所
- 「中継事業者」を介さず、直接トラフィック交換ができる
- 帯域コストを抑え、遅延を減らせる
- 設置場所はデータセンター(東京大阪など)
どの中継事業者やIXを経由するかは、契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)に依存する
どのIX(インターネットエクスチェンジ)を経由するかは、あなたが契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)に完全に依存します。
なぜIXの経路はISPに依存するのか。
インターネットは「無数のネットワーク(AS=自律システム)」がBGPというルーティング技術で接続された巨大な構造。
あなたの通信は、まず契約しているISPのネットワーク(AS)に入るところから始まり、
ユーザーの通信経路はISPが管理しているBGPルーティングポリシーに従って自動的に決まります。
ISPによるIX、中継事業者の選定方法は?
NURO光を含む各ISPは、以下のような目的で特定のIXや中継事業者を選定しています。
- コスト最適化:帯域コストが安いIXを優先する
- 低遅延ルートの確保:ユーザーが多い地域(例:東京大阪)にあるIXを利用
- トラフィック分散:複数のIXに接続して経路を分ける
- 大手コンテンツとの直結:Google、Netflix、Amazonなどと直接ピアリングして高速化
たとえばNURO光(So-net)は以下のような構成を取っています。
- 主にJPNAP、BBIX、JPIXといった国内主要IXを経由
- 一部はNTT Comなどのトランジット事業者を経由
- 海外通信は海外IX(Los Angeles, Singaporeなど)を経由
このように、どのIXを使うかどの経路を通るかは、ISPのネットワーク設計や契約関係によって決まります。
traceroute(tracert)で経路を調べてみよう
最も基本的な確認方法が「traceroute(Windowsではtracert)」コマンドです。
これは、目的のサーバーに到達するまでに経由するネットワークの“中継地点(ホップ)”を順番に表示してくれるツールです。
【Windowsの場合】
コマンドプロンプトを開き、以下を入力します。
tracert amazonaws.com
【MacやLinuxの場合】
ターミナルで以下を入力します。
traceroute amazonaws.com
すると、1行ずつ「どのサーバーを経由したか(ホスト名やIPアドレス)」が表示されます。

↑↑↑実際のイメージ(Windows11の例)
経路情報から中継事業者やIXを推定する
表示された中継サーバーのホスト名には、事業者名やIXの略称が含まれる場合が多いです。
たとえば以下のような表記を見つけることで、どの経路を通っているかを推測できます。
- 「bbix.net」→ BBIX(ソフトバンクグループのIX)を経由
- 「jpnap.net」→ JPNAP(日本最大級のIX)を経由
- 「inetne.jp」や「ntt.net」→ NTT系のバックボーンを通過
- 「so-net.ne.jp」→ So-net内部のルート
- 「google.com」「amazonaws.com」→ 最終到達先がGoogleやAWSサーバー
たとえば「ix.jpnap.net」や「bbix.net」が途中に含まれていれば、NURO光がそれらのIX(インターネットエクスチェンジ)を経由して目的地と通信している可能性が高いということです。
AS番号(Autonomous System Number)から事業者を特定できる
IPアドレスが分かったら、「AS番号(自律システム番号)」を調べると、どのネットワーク事業者がそのIPを管理しているかがより正確に分かります。
例えば、以下のようなサイトで確認できます。
- https://bgp.he.net/
- https://ipinfo.io/
これらのサイトで、traceroute(tracert)で出てきたIPを入力すると、AS番号(例:AS2527 So-net Corporation)が表示されます。
これによって、NURO光がどのASからどのASへトラフィックを流しているのかが視覚的にわかります。
海外サーバーとの経路も調べてみよう
国内サイト(例:yahoo.co.jp)と海外サイト(例:google.com、twitch.tv)でtracerouteを比較してみると、
国内IXだけで完結している場合と、海外のIX(Los AngelesやSingaporeなど)を経由するケースがあります。
海外ルートでは遅延が大きくなりやすいので、VPNやCDNの位置などと合わせて見ると、速度の違いの原因がつかめることもあります。
注意点
経路確認時は、以下の点を注意しておきましょう。
- 一部のサーバーはセキュリティ上、応答を返しません。(「*」表示される。)
- Wi-Fi経由だとルーターの内部アドレス(192.168.x.xなど)が最初に表示されます。
- 深夜や休日など時間帯によって経路が変わる場合もあります。
経路情報を定期的に確認することで、回線の混雑状況や改善傾向を自分でも把握できるようになりますよ。
まとめ
NURO光の通信経路は、tracerouteやAS番号照会ツールを使うことで、ある程度自分でも確認できます。
「どのIXを経由しているか」「どの事業者のネットワークを通っているか」を知ることで、速度やPingの変化をより客観的に分析できるようになります。
ネットワークの見える化は、快適な回線運用への第一歩です。
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また次の記事でお会いしましょう!
